9月定例会に提案されました、市税条例の改正案に対し反対討論をしました。内容は以下の通りです。
本議案は、本市の市税条例のうち固定資産税の減免措置に関する条項に、新たに減免することができるものを加えようとするものであります。 その内容は、
『都市機能の維持を図るために必要な、滞在拠点としてのホテル及び集客施設を加え、10月1日から施行、実施しようとするものであります。』
このことは、先の全員協議会で、みなさんご存じのことと存じますが、平成25年度から実施しております、放射性物質廃棄物の仮置場の固定資産税の減免を一つにまとめ、「特別の事情があるもの」とし、市税減免取扱要綱において、仮置場の固定資産税の減免の継続と、都市機能の維持に欠かせない滞在拠点として、誘客効果を上げ地域経済活性化に寄与することが見込まれる、旅館業法に規定するホテル等についても、固定資産税を減免することができるようにしたい。との報告がありました。
私は、取扱要綱に定めるのではなく、条例に減免の内容を具体的に明記すべきとの意見を申し上げた経緯があります。
今般提案されました改正案は、仮置場の減免の規定はそのままで、新たに冒頭申し上げた規定を追加するもので、ホテルのほかに集客施設も対象として加わっております。
固定資産税の減免については、
地方税法の第367条において 市町村長は、天災その他特別の事情がある場合において、固定資産税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者、その他特別の事情がある者に限り、
当該市町村の条例の定めるところにより、固定資産税を減免することができる。
とされており、これを受けて、市町村の条例では
第 条 市町村長は、次の各号のいずれかに該当する固定資産のうち、市町村長において必要があると認めるものについては、その所有者に対して課する固定資産税を減免する。 として、
(1) 貧困により生活のため公私の扶助を受ける者の所有する固定資産
(2) 公益のために直接専用する固定資産(有料で使用するものを除く。)
(3) 市の全部又は一部にわたる災害又は天候の不順により、著しく価値を減じた固定資産
と定められているのが一般的であります。
租税法律主義の原則からしても、地方自治体の裁量は法の定める範囲内に限られるものであって、減免についても例外ではない訳でありますが、本宮市の条例では先にお話しました、仮置場の減免の規定が加わっているところであります。
今回、特殊事情と申しておりますが、特殊事情があるのは近隣、他自治体も同じ状況ではないかと思われますし、減免取扱要綱で詳しく定めるということで認めてしまうことは、常任委員会で聞いた内容、すなわち減免対象となる固定資産(土地、家屋、償却資産)の何なのか、ホテル及び集客施設の規模、要件、減免の割合、それからいつまで減免を適用させるのか、これら全てにおいて議会の介入する余地がなく、首長の裁量で決定でき、公告(極端に言えば市役所の掲示板に貼る)すればいいことになってしまう訳です。
大切なのは、減免をした額も成果も公表されることなく、税を減免するということが、多くの善良な納税者の理解が得られるかということであります。 補助金、補償金、見舞金などで解決すべき類のものを、税の公平性を損ねることになるような、安易に政策手段として税の減免制度を活用することは、厳に慎むべきであると思われます。
固定資産税は、固定資産(土地、家屋及び償却資産)に対し、その所有者に課する税金であります。 市町村の税の中では景気等に左右されることなく納付される税金であり、この減免された税額については、どこからも補てんされず市の減収になる訳であります。
どうしても施策上、税相当額を補てん、助成等する必要があるとするならば、予算措置をし、議会の議決を得て交付すべきものであり、12月議会において措置しても、十分成果は期待できるはずであります。
市議選が無投票であった後の、最初の定例議会、市民の皆さんが注視されていると思います。 議員皆さんの賢明なる判断に、ご期待を申し上げ、議案第73号に対する反対討論といたします。
結果は残念ながら5名の賛同しか得られませんでした。